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限られた時間でやりたいことをやるためには、「やらないことリスト」をつくろうという記事を書きました。
そのなかで紹介した、「新聞は読むものではない」という考え方。
元ニューズウィーク日本版編集長で、数多くのメディアでもコメンテーターとして活躍された竹田圭吾さん(※)の『コメントする力』に書かれている情報編集術です。
これを参考にニュースの見方を変えたことにより、効率良く情報をインプット出来るようになったので紹介しておきます。
定点観測するメディアを決める
竹田さんは、新聞の場合は朝日、読売、毎日、日経、産経、東京の朝刊六紙に加えて、国内出張先では地方紙、海外でも地元紙を読んでいたそうです。海外で言葉が分からなくても、見出しと写真とレイアウトでその国・都市のムードや空気がなんとなくつかめるんだとか。
「新聞は読むものではなく、見るもの」という言葉通り、ひとつひとつのニュースを細かく理解するのではなく、世の中の全体像を頭にインプットすること、どこにどんな情報があるのか情報地図としてインプットすることが大切です。
ネットの場合はBBCニュース、CNN、アルジャジーラの3つ。ぼくの場合は現在ルワンダに住んでいるので、これに加えてThe New Times、The Rwandan、Yeejo.rwの3サイトもチェックしています。
時間を決める
新聞に目を通す前に、その作業に充てる時間をあらかじめ決めておきます(全紙合計で一時間など)。ニュースをすべて知ることは不可能ですからね。決められた時間の中で優先順位をつけてインプットしていきます。
三つのカテゴリに分ける
まずは見出しをチェックして、①どうでもいいニュース、②事実として押さえておくだけでいいニュース、③大事なニュースの3つに分けます。
①は見出しを確認しただけでスルー、②は斜め読み、③はその場では読まずに保管しておいて、全紙の見出しチェック後にまとめて読みます。
竹田さんは、新聞の場合はその記事の掲載ページごと切り取ってクリアファイルに入れる、ネットの場合はリンクを自分宛てにメールで送っていたそうです。
ぼくはTwitterでシェアするか、Evernoteに保存することが多いです。
Twitterシェア例
https://twitter.com/NoReHero/status/711989461509402624
Evernoteに保存する時は、「Evernote Web クリッパー」を使うと便利です。
Macの場合、インストールするとSafari上部に、下図の◯で囲んだEvernoteボタンが出て来ます。
これを押すと、いま開いているページをEvernoteに保存してくれます。保存先のノートブックを選んだり、タグを付けたりすることも出来て使いやすいです。
メディアによる扱いの違いをチェック
話を戻します。
二紙目を見る時に注目すべきは「何が報じられていないか」。朝日では取り上げられていたニュースが、読売では報じられていない。そこに生じた差異に、各メディアのニュース価値の判断基準が反映されます。
その差異を見ていくことによって、この情報ならこのメディアが詳しく書くはずだとか、このメディアを見てもこの情報は出てこないだろうとか、自分なりの情報地図を進化させていくことが出来ますね。
ニュースサイトは網羅的に見る
ネットの場合はトップページに載せる記事がどんどん更新されていくので、紙媒体と比べるとニュースの価値判断の提供という機能は失われています。しかし全体像をつかむことは依然として重要です。
ウェブサイトの見出しをざっとチェックして、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、中東、政治、ビジネスといった地域別・分野別のヘッドラインを見ていきます。
少し長いですが、本書のなかで「すげえな」と思った箇所があったのでそのまま引用します。
最初に表示した三つ以外のサイトをみる時間の余裕があるときは、イギリスの『フィナンシャル・タイムズ』と『インディペンデント』か『タイムズ』か『ガーディアン』紙、韓国の『東亜日報』か『中央日報』、中国の『チャイナ・デイリー』と香港の『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』、アメリカの『ニューヨーク・タイムズ』と『ウォール・ストリート・ジャーナル』をみます。さらに余裕があるときは、ドイツの『シュピーゲル』やイスラエルの『ハーレツ』、アメリカの『ワシントン・ポスト』や外交専門誌『フォーリン・ポリシー』などもチェックします。
ニュースサイトを基本的には「見るだけ」なので、BBCとCNNとアルジャジーラ以外のサイトまでひと通り閲覧しても、三十分もかかりません。忙しいときはさらにはしょって十分で済ませることもあります。
それでも、これを毎日繰り返すと、世界全体で何が起きているかがイメージとして自分の頭にインプットされます。
一流のジャーナリストはこれだけのことを当たり前のようにやってるんですね。新聞なんて一紙で充分だと思っていたぼくには驚きです。
でも全体像をつかむことを意識していれば竹田さん曰く「十分で済ませる」ことも可能ですからね。ぜひ習慣化していきたいです。世界で起きてる出来事のイメージ、掴めるようになれるかな。
関係ないニュースなんてない
子どものときは政治や経済、国際関係のニュースなんて見てもちんぷんかんぷんで、「大人になったら分かるんだろうな」と思ってました。でも、26歳のいい大人になったいまでさえ、世の中のことなんて正直よく分かっていません。
ただ大人になってから気づいたのは、他の国のことやまったく違う分野のことなど、一見関連がない出来事もすべて繋がっているということです。
社会人になって車に乗り始めると、ガソリンスタンドの前を通るたびに看板のガソリン価格をチェックするようになりました。「最近ずいぶん安いな」と思っていたある日、シェールガスの採掘を拡大するアメリカにシェアを奪われないようにOPEC(石油輸出国機構)が原油価格を値下げしているというニュースを目にしました。
中東とアメリカの関係やエネルギー問題など自分には関係のないことだと思っていましたが、ガソリン価格という半径5mの話題にまでその影響が及んでいることに気づき、関係ないニュースなんてないんだなと実感しました。
個々のニュースはジャンルごとに整理されていたとしても、実際には互いに連動しています。だからこそ世の中の全体像を頭にインプットすることが重要なんだと、竹田さんに教えていただきました。
ぼくがこの『コメントする力』を読んだのは、竹田さんが今年の1月に亡くなったというニュースがきっかけでした。たとえその人が亡くなってしまったとしても、何年経ったとしても、こうして文章を通じて先人の知恵を受け継ぎ、学ぶことが出来るんだなと、改めて本というものの素晴らしさを感じています。
本記事で紹介したのは、この本のごく一部です。ニュースの読み方だけでなく、ストーリーの組み方や付加価値の付け方など、情報を発信していくうえで重要なことがたくさん書いてあるので、世の中に価値を生み出していきたい方はぜひ読んでみてください。
タケダノリヒロ(@NoReHero)
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